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捨てることのほうにもサイトの個性は現れる

話題を取捨選択する嗅覚は本当に必要か。Muibrog

内容の面白さはリンク先を読むとわかると思うのでそれには触れず、僕はここでちょっと「取捨選択」という言葉にこだわってみたいと思います。当たり前のことですが、個人ニュースサイトの運営者は目に付いたものを手当たり次第に拾い上げているわけではありません。取り上げるネタの選別には運営者独自のセンス(具体的にはそのときの興味・関心、ときには打算)が介在しています。

特に、あまり感想も付けず、記事を梱包してまとめサイトのようにして出すわけでもない羅列型の個人ニュースサイトは取捨選択するということはかなり意識的に行っているわけで、大雑把に言ってしまうと、他所との違いはこの「ネタの選別」ということ以外に現れてこないわけです。おそらく、羅列型に慣れていない人にはどこもかしこも同じサイトに見えることでしょう。

それはそれで良いし、羅列型はつまらないと思う人は自分の気に入るサイトを探したほうが有益です。ただ、羅列型も見慣れてくると違いというのは確かにあって、似ているように思えても「この羅列型サイトは好き」「あの羅列型サイトはそれほどでも」という好みがでてきます。少なくとも僕にはそれがあります。

それでは、僕の場合、具体的にそれはどういう基準で決められているかというと、ネタの選別に関して「捨てるほうを重視しているサイト」を好む傾向が僕にはあります。僕は基本的に「どこもかしこもこちらの見方次第で十分に面白いサイトである」というサイト観を持っているのですが、それでも仮に、サイトに点数を付けるのであるなら、僕は減点方式でサイトを評価しています。つまり、僕が感じるところの「取り上げてはいけない記事」というのを取り上げてしまっているサイトは「ああ、あれを取り上げてしまったか」ということで「んー」となってしまうのです。

もちろん、多くの面白い(話題になっている)記事を速く集めるというのはそれはそれでひとつのかけがいのない魅力になるわけで、そういうタイプ、つまり「取るほうを重視している」羅列型が王道ではあるだろうけれど、なかなかそれっていうのは時間的にも選別眼的にも難しいものです。だから、その領域でノウハウを完全に持った既存のサイトと戦おうと思っても(自分の生活スタイルをかなり殺さない限り)実は勝ち目がない。

ただ、速報性&情報量という羅列型の強みを多少殺しても、押さえるネタを押さえて、取り上げてはいけないネタをきっちり排除している羅列型サイトは十分仕事になっていると思うし、そういうサイトには同様の個人ニュースサイトを書いている者として信頼感を抱きやすいです。

つまり、明らかに内容はおかしいのに話題性だけで盛り上がっているような記事を、そのサイトが取り上げているかどうか、取り上げているならどのように取り上げているかというようなことを僕はけっこう気にします。通常、サイトの個性は「ある分野に特化しているかどうか」を、すなわち、「どういう記事を取り上げているか」を問われるのですが、話題性だけで内容のない記事を「しっかり取り上げていない」ということからも、そのサイトの個性というのは感じられるのです。


<追記>
「取り上げてはいけない」という表現は誤解を招きやすいかもしれません。どのような基準を定めるのかは個々人によって変わると思うけれど、その基準は主に運営者の「常識」と「選好」に依っていて、この感覚が近い人のほうが安心感を抱きやすいと言うことができるように思います。

具体的に言うと、「常識」という観点では、「個人叩きと思われるような記事」や「炎上ネタ」や「2ch ネタ」や「特亜ネタ」を取り上げるかどうかというのはひとつの基準になります。「選好」という観点では、サイトが「ある分野に特化しているかどうか」というのはひとつの基準になります。

攻勢なサイトであり、攻勢な閲覧者も想定しているなら、より刺激的なネタを集めるというのは、そういうサイトとして妥当であるし、穏当なサイトであり、穏当な閲覧者を想定しているのであるなら、政治・宗教・民族関係のような感情的なフックの内在した記事は集めないというのは、そういうサイトとして妥当であるといった具合です。

もちろん、こういったこと以外にも基準はありますが、その一例と思って下さい。