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【サイト名+さん】の起源はどこにあるか

ウェブサイトの記事志向化RERO!!

【サイト名+さん】という呼称についてのテキストです。この起源は難しいですね。ひとまず「Blog は運営者がはっきりしているから、サイトと中の人を同一化できる(サイトを人格化できる)」というのは難しい設定だと思います。

たしかにそういう部分もあるとは思うけれど、「Blog は」という境界条件も気になるし、こういう場合は端的に「著者名よりサイト名の方が認知度が高いだけ」と考えたほうが素直だと思います。むしろ Blog というブラウザで更新できる仕組みはマルチユーザでのサイト運営を容易にするので、これからは Blogだからこそ、サイトと中の人(たち)と記事の書き手を意識的に分ける必要が生まれだすでしょう。

というより、運営者がはっきりしている場合こそ「【サイト名】の【運営者名】さん」と呼ばれるような気がします。テキストサイト全盛期やそれ以前はそうでした。「侍魂の健さん」「POPOI の入江さん」「ろじぱらのワタナベさん」「斬鉄剣のナミ」といったように分けて呼ばれることが多かったと思います。サイトというのは「だれそれが文章を載せている場所」であり、そこに閲覧者はアクセスするというような、ある種、分節化された意識があったように思います。

「ダークマターの濁(ダーク)さん」はサイト名と名前がかぶることもあって「濁又」とか単体で呼ばれることもあったとは思うけれど。まだ 2ch が特殊で独特の空間だった時代ですね。パソ通時代の「名前@所属」もそうでしょう。

いや、ダークマターは個人ニュースサイトでしょうか。すると、テキストサイトと個人ニュースサイトの差というのはこのあたりにあるのかもしれません。つまり、どのように呼称されるかというところにです。閲覧者の意識が「中の人」にあるのか、「サイトの情報」にあるのかということです。

テキストサイトのように「中の人」にある場合は、必然的に「中の人が書いているサイト」だから「【サイト名】+【運営者名】さん」になるでしょうし、「サイトの情報」にある場合は、基本的に「サイトさえあればよい」のだから「【運営者名】は【サイト名】と同一視される」というか「運営者はサイトと溶け合っている」というか、そもそも、そういった「区別をする必要がない」ということでしょう。だから、個人ニュースサイトの閲覧者が中の人に興味を持ち出したら、その人はその個人ニュースサイトの「常連」になっていると言えるだろうと思います。

ということで、その起源というのを考えだすとなかなか難しいのですが、僕の仮説としては「VNIサイト」の御大「ちゆ12歳」起源説と「羅列型個人ニュースサイト」起源説、ないし、その両方ということが言えるのではないかと思います。

「ちゆ12歳」起源説であるなら、こういう具合になります。「VNIサイト」には「中の人などいない」ため、「サイト=キャラクタ=中の人」という見方を閲覧者に要請します。そこから、閲覧者の意識として「サイト名≒運営者名」と把握することにあまり抵抗を感じないようになったのではないでしょうか。

そして、もう片方の「羅列型個人ニュースサイト(具体的には「俺ニュース」等)」起源説ですが、これには「情報元表記」という個人ニュースサイトの伝統が関係してきます。個人ニュースサイト界隈では、通常、「情報元表記」というのは「サイト名」を表記することになっているのです。掲示板やメールでタレこみの情報でももらわない限り、情報元表記が「人名」になることはありません。

これはつまり、「誰がこの情報をもっていた(作った)か」ということよりも、「どこにこの情報が(まとめて)あったのか」ということのほうが個人ニュースサイトとしては重要だということです。どちらが情報として高級かということは見方によって変わると思いますが、この違いはたしかにあります。だから、テキストサイトと個人ニュースサイトとでは「価値のありか」「価値のあり方」が違うわけですね。

そういうわけで「情報元表記」は「サイト名」になります。そして、羅列型個人ニュースサイトの扱う情報量が尋常ではないことからもわかるとおり、子ニュースサイトにせよ孫ニュースサイトにせよ、他のサイトに対する依存度は高く、こうした情報元表記というのは日常的に頻繁に行われているのです。

しかし、読売新聞のような公式なサイトから記事を引っ張ってきたときには「読売新聞さん」とは表記しません。これはたぶん、そういうサイトの場合は「中の人が透けて見えてはいない」からでしょう。逆を言うと、個人ニュースサイトのように「個人」がサイトの向こうに透けて見えている場合は「サイト名であっても、さん付けしようか」という気にもなります。

つまり、羅列型個人ニュースサイトの「情報元表記」という作法と、他サイトへの依存度の高さ、そして、中の人が前面に現われはしないけれどもサイトの向こうに透けて見えてはいるという存在感、こうした個人ニュースサイトの構造が【サイト名+さん】という呼称に違和感を感じさせていないのです。

こうした、個人ニュースサイト界隈の文化における伝統的な作法が、その周辺の Web に浸透しだしており、【サイト名+さん】といった表記に抵抗を感じないようになってきているのではないでしょうか。