蟹は前に進むのか横に進むのか。

荒川静香の「イナバウアー」が流行っている。もともと西ドイツのイナ・バウアー選手が用いていた元祖「イナバウアー」は、「足を前後にずらし、足先を180度に開いて横に移動する足技」であるらしいのだけれど、荒川選手の「イナバウアー」は、それに「上体を大きく反らす」というおまけを付けて芸術性を高めているらしい。

シュールな技だ。つまり、前後軸を維持したまま、その軸の垂直方向に移動しているからシュールなのだ。荒川選手の場合はさらに前後軸を反転させているのだから二重の驚きである。鳥類で例えるなら、後ろ向きのフクロウが急にグルッと首だけ180度回転させてこちらを向き、そのまま横にスライドしたようなシュールさがある。静かに過剰だ。

なるほど、マイケル・ジャクソンの「サイドウォーク」、萩本欽一の「欽ちゃん走り」、坂田利夫の「アホ歩き」、どれも芸術性が高いのは「前後に進む」という観念を打ち破るシュールさにあるのだ。
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by kourick | 2006-03-10 00:00 | 考察