どぼちて?

「<」という記号がある一方で、どうして反対向きの「>」という記号があるのだろう。集合論における「⊃」と「⊂」、「∈」と「∋」も対になっている。

ちなみに、逆向きだけれど意味は同じという記号は左右の反転に限られていて、上下に反転している記号はそれぞれ明らかに違う意味をもっている。これは横書きの文化でこれらの記号の属する体系が発展してきたからだろう。

それはともかく、どちらか片方だけあれば事足りるように思われるのに二種類の記号があるのはなぜだろう。僕の推測では多分、関係を表示する記号を固定したまま、両辺に現れる対象を置換すると証明の流れが不明瞭になる場合がけっこうあったからだと思う。

つまり、左辺に短い式を置いておきたいという心理的な事情によってである。あるいは、証明はどうしたって左辺から先に書かれるため、それを基準に「左辺より大きい」「左辺より小さい」を表現しようとすると、どうしても「<」「>」という二種類が必要になるということかもしれない。その証拠かどうかわからないが「<」は「しょうなり」と読まれ、「>」は「だいなり」と読まれる。

このようなわけで、わりかし両方向の記号が用意されているわけだけれど、たまに論理学なんかで使う「⇒」という記号には、逆向きの記号は用意されていない。このことから思うに、順序関係や包含関係や大小関係などを左右の別なく表現しつつも、やはり時間は左上から右下に向かって流れているということだろう。右から左に向かう矢印は不自然なのである。ちなみに「⇔」という双方向矢印は用意されているし、テフでは逆向きの矢印も使うことができる。
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by kourick | 2006-08-09 00:00 | 考察