原型と複製

 「人間/機械(アンドロイドやレプリカント)」「人間/人形」の関係を取り上げて、そこに「原型(オリジナル)/複製(コピー)」という構図を当てはめて話題を展開することはわりとある。

 こういった発想はそれほど目新しいものではなくて、古いところでは一神教における「神/人間」の関係がこれにあたる。いわゆる「人間は神を模して創られた」というものだ。

 といっても、さらに遡ってギリシャ神話になると「神々は人間を模して創られた」という様相を呈しており、似通った物語の枠組では語れない動機や目的、社会的役割の違いがあるように感じられる。

 ただ、僕は「人間/機械」「人間/人形」という関係を「原型/複製」という構図で理解するのには違和感があって、ある個体をオリジナルとしたとき、その個体の複製はやはり、その個体のクロンだろうと思う。

 だから、人間を機械に喩えるのも、機械を人間に喩えるのも、それらはやはり類のメタファであって、いまいちリアリティを感じられない。むしろ、その構図の性格上、実情に漸近していかないように感じる。

 それはむしろ、あるオリジナルから近縁のオリジナルを創るというテーマである。ただ、たしかにそうしたテーマは「原型と複製」という構図の物語のなかで成立するものなのかもしれないとも思う。

 もちろん、こうしたレトリックは現実的には問題にならない。ただ、そうした構図のなかにある物語がどのくらい現実を説明してくれるのかということについて、僕はとても懐疑的だというだけの話である。
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by kourick | 2006-08-26 00:00 | 考察